時間を売るな!ビジネスをはじめろ!エンジニアのためのクワドラント講座

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エンジニアの貧困リスク。 そこには「他者に依存する」という考え方が根底にあります。 どうすれば依存せずに収入を得ることができるのか。 「誰かに使われる」マインドから「自分で商売する」マインドへ。
目次
こんにちは。ナオツです。
前回は、エンジニア人生の先には貧困リスクが潜んでいるという話をしました。 詳しくはこちら
このブログについてツイートしたところ、過去一のリツイートをいただきました。(上記参照) 皆様ありがとうございます。 多くの方が興味のある分野なのだと思いました。
今回は、前回提唱した貧困リスクをいかに回避できるか、僕なりに考察してみたいと思います。
クワドラント
前回も書きましたが、SIやSESでエンジニア人生を進んでいくと、貧困リスクへの2つの落とし穴があります。
- マネジメント職:対人関係のストレスから鬱になりやすく、そのまま休職してしまうリスク
- ひたすらエンジニア:自分の技術力と市場の需要とのアンマッチにより「詰みエンジニア」となるリスク
この2つに共通していえることがあります。
「会社に依存している労働者である」
ということです。 ロバート・キヨサキ氏の大ベストセラー書籍「金持ち父さん・貧乏父さん」によると、全世界には4種類の働き方(クワドラント)が存在するそうです。
- E:Employee(労働者)
- S:Self employee(自営業者)
- B:Business owner(ビジネスオーナー)
- I:Investor(投資家)
これらをエンジニア目線で見ていきましょう。
Employee - 労働者
労働者とは、自分の「時間」を切り売りして収入を得ている方々です。 会社に雇われて給料を得ているので、主導権は会社にあります。 その代わり、会社が税金や保険を支払ってくれます。
正社員や派遣のエンジニアはここに当たります。 基本はフルタイムで働き、管理職であれば残業代が支払われないこともあります。
Self employee - 自営業者
「自分の事業」を行っている方々です。 自営業者も労働者同様、自分の「時間」を切り売りして収入を得ています。 労働者と違うのは、主導権は自分にあるということです。 やるもやらぬも自分次第です。
フリーランス(個人事業主)のエンジニアの多くはここに当たります。 なので働き方は労働者より融通が利きます。 フルタイムで働く必要はありませんが、クライアントとの契約が切れれば収入が途絶えるというリスクがあります。 そのため1社だけでなく、複数社と契約して仕事を進めていくケースが多いです。
Business owner - ビジネスオーナー
「事業を所有」している方々です。 基本的に自分は現場には出ず、事業の権利を所有して権利収入を得ています。 つまり自分は労働しなくても、自動的に収入が得られる仕組みを持っているということです。 当然主導権は自分にあります。
たとえば、エンジニアがSNSサイトを構築して、サイト運営のための従業員を雇います。 SNSサイトの広告費の売り上げから従業員やその他の費用を差し引いた分が自分の収入になります。 自分でサイトの運営や改修を行うことはありません。 そういうエンジニアを1人挙げるとすれば、「マーク・ザッカーバーグ(Facebook CEO)」が有名です。
Investor - 投資家
株や不動産などに投資をすることで利益を得ている方々です。 ビジネスオーナーの場合は、労働する必要はありませんが、経営するために時間を割きます。 一方、投資家はその時間すら割きません。 もっとも自由な時間を確保できる人種です。
投資家として生活できている場合、エンジニアを続ける必要はないですね。 趣味でやっている方以外、ここにエンジニアは存在しません。
クワドラントの割合
これら4種類の人間を世界の人口の割合で見てみると、
- Employee(労働者)、Self employee(自営業者):95%
- Business owner(ビジネスオーナー)、Investor(投資家):5%
となっています。 一方、全世界の富の分配を見てみると、
- Employee(労働者)、Self employee(自営業者):5%
- Business owner(ビジネスオーナー)、Investor(投資家):95%
となっています。 逆転してますね。 世界中のほとんどの資金は、Business owner(ビジネスオーナー)とInvestor(投資家)の手元にあるのです。 つまり、労働者や自営業者でいる限りは、そもそもお金が回ってこないと言えそうです。
労働者から脱却して貧困リスクを軽減する
話を戻します。 労働者であることに貧困リスクがあるのだとしたら、
労働者 → 自営業者 → ビジネスオーナー → 投資家
のように人生をシフトしていけば、そのリスクは軽減されると考えられます。 なぜなら、収入における他者への依存度が順々に減っていくからです。 他者へ依存しているから、「使われる」という考え方になってしまい、「資格」を取ったり「スキル」を磨くマインドになってしまうのです。
そう考えると他者への依存度が高いほど貧困リスクも高くなる、といえそうです。
さて、クワドラントを順々にシフトしていく上で、各レイヤーにどんなハードルが存在するのでしょうか?
Self employee - 自営業者へのハードル
エンジニアが自営業者(フリーランス)になることへのハードルはほとんどありません。 税務署に開業届を提出するだけでフリーランスになれます。
では、仕事はどうやって見つけるか?
エンジニアやWebデザイナーの場合、フリーランス向けの案件紹介エージェントが数多く存在します。 技術力に左右されるところもありますが、仕事探しは彼らに任せておけば、収入が途絶えるリスクは軽減できます。
Business owner - ビジネスオーナーへのハードル
エンジニアがビジネスオーナーになるのは、大きなハードルかと感じられますね。
- 自分で事業を所有する??
- どれほどの大金が必要なんだ…??
- 従業員を雇うお金なんかないよ…
落ち着いてください。 あなたはエンジニアですよね? もしくはエンジニアを目指してるんですよね?
お金をかけずに自分で仕組みを実装すれば良くないですか?
エンジニアの一番の強み、それは「自分で作れること」です。
何もAmazonのような大きな仕組みを作れ、と言っているわけではありません。
いまやスタートアップ企業のほとんどはIT企業です。 ITビジネスは小さく始められるのが強みです。
最初は従業員を雇うことなく、個人や有志で集まった仲間たちと小さなチームで戦うことになるかと思います。 でも個人や小さなチームで作るサービスにも強みはあります。
大企業ではボツになるような小さなニーズにも対応できるということです。
この世にはたくさんの「痛み」が存在します。 「痛み」の数だけ「ニーズ」が存在します。
彼らの「痛み」を解消できるサービスがあれば、彼らはお金を払って「痛み」を解消します。 しかし「痛み」の総数や規模が小さいと、収入にならないので、大企業では小さなニーズに対応できません。
これが逆に個人や小さなチームで戦う有利なポイントです。
また、小さなシステムはサーバーの運用費もほとんどかかりません。
つまり、自分で小さなサービスを実装して、コストを安く抑え、そのサービスがあなたのために自動的にお金を稼いでくれれば良いということです。
もちろん1つのサービスだけでは、収益は少ないかもしれません。 しかし、小さなサービスであれば複数運用することも可能です。 思いつくあらゆるサービスを最低限の機能でリリースしてみて、市場の反応を見ることもできるのです。
売り上げの良いサービスを見極め、機能追加などを行い売り上げの向上を目指すような戦略も可能です。
当然、収入の柱ができればできるほど、貧困リスクは軽減されていきます。
そして、ある程度稼ぐことができれば、従業員を雇ってシステム運用のためのすべての作業を任せることができるようになります。
Investor - 投資家へのハードル
投資家のハードルは単純にお金だけです。大金があればなれます。 ビジネスオーナーとして成功して、大儲けした暁にはこのフェーズを検討しても良いかと思います。 ここは、「投資家になることが本当に自分の人生にとって楽しいか」みたいな議論にもなってくると思いますので、ここでは詳しく語りません。 ビジネスオーナーになってうまく稼げるようになった時点で、貧困リスクはかなり軽減できると思うからです。 貧困を回避するための話なので、ここは割愛します。 (僕は投資家でないので、その当時者の声として言及できないということもあります。笑)
クワドラントの移行順序
前述にもありましたが、トップ画のように、 労働者 → 自営業者 → ビジネスオーナー → 投資家 の順番で移行していくのが、安全かと思います。
たとえば労働者からいきなり投資家になるのは、オススメしません。 投資家は資金がある程度潤沢で、生活費以外のお金を使って投資を行います。 利益が出るのは一朝一夕でなく、数年がかりになることがほとんどです。
労働者はそもそも収益が少ないので、なけなしの預金で投資をしても生活を圧迫するだけです。 また、経営についても良くわからない状態で他人が経営する会社に投資をするのは「ギャンブル」以外のなにものでもありません。
詳しくは次回のブログでご紹介しますが、 自営業のノウハウがビジネスオーナーへ活かされ、 ビジネスオーナーのノウハウが投資家へ活かされると、僕は思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
「4種類の働き方(クワドラント)」について、僕は社会人3年目(2011年頃)のときに知りました。 とはいえ、フリーランス(自営業者)に転身したのは2015年です。 その時は、頭ではわかっていてもやはり変わるのが怖かったのだと思います。 転機になったのは、労働者として炎上案件(日々終電帰り)でマネジメント業務をやるようになり、心身を壊したことです。 労働の果てに人生を潰される恐怖を味わったからです。
フリーランスになってから、この世には星の数ほど仕事があって、無理をしない働き方があることを知りました。 同時に、いくら技術力が向上しても、大して収入が増えない現実も知りました。
当然です。
Employee(労働者)からSelf employee(自営業者)に変わっただけなので収入はほとんど変わりません。 貧困リスクはいつまでたっても消えませんでした。
次回は、いかに労働者からクワドラントを移行していくか、という具体的なステップをご紹介したいと思います。